机の上には無造作に置かれた書類が散らばっていた。
未処理の書類を恨めしく思いながらソファに身体を沈める。
焦燥感。高揚感。
なんだか不思議な気持ちだった。ぼんやりとした視界の中で、向かいで寝転ぶ君の姿が目に入った。
「のんきに寝て、まあ……」
思わず呟いた。
オレンジのパーカーを着込んだ君は、フローリングの上に直に寝転んで安らかな寝息を立てている。
嬉しそうな顔。
なんだか無性に嬉しくなって、僕は静かに頬を染めた。
「何見てんだ、バカ」
不意に声が聞こえる。
視線をやると、寝ていたはずの君が顔だけこちらに向けてにやにやと笑っていた。
「あんまり嬉しそうに寝てるもんだから、見とれてたんだよ」
事実を述べると君は少しだけ怒ったように起き上がる。
「しょうがないだろー仕事が終わんなくて三轍なんだから! 久しぶりに爆水で来てどんなに嬉しかったか」
「じゃなんで起きたのさ」
胡坐をかいて怒る君はぷりぷりと頬を膨らませた。僕の疑問に「お前がうるさいからだろー」と声を張る。
そんなに大声を出したつもりは無いんだけれどな。
けれど良いや。そう思う。
「あれ、お前まだ書類残ってんじゃん」
机の上の書類に気がついて、半ば驚いたように君は言う。その様子がおかしくて、少し笑うと怒られた。
「すぐやるよ」
「じゃあやれよ」
一瞬の間。
何となくおかしくなって、声を出して笑い出す。
書類は残ってる。
仕事は山積みだ。
けれど、こんな空気も悪くないと思う。
背後でソファのきしむ音が聞こえた。
ふうと小さなため息が聞こえて、俺は心臓が跳ね上がりそうになる。
思わず寝たフリをしながら、静かに耳をそば立てた。
こいつはいつも仕事付け。俺が毎日遊んでいる代わりに、こいつは一週間だって二週間だって徹夜で仕事をこなしてる。
だからこの前、少し無理をして珍しく仕事を手伝った。
軽く三徹。けれどお前のためならなんでもなかった。
本当は眠くなんて無い。ただ、仕事をしているお前の邪魔をしたくなかっただけ。
「珍しく仕事をしてくれたな」と呟いているお前の声を聞くのは、たまらなく嬉しかった。
「のんきに寝て、まあ……」
あきれた声が俺にかかる。でもそれも良いと思った。
お前の声が、低い声が、たまらなく愛しい。
お前は俺のこんな気持ちに気づくことは無いだろう。
仕事仕事で女っ気もない奴が、俺の気持ちに気づくはずなんて無い。
気づくはずなんて無いはずなのに、背中に感じる熱い視線が無性に嬉しい。
そして、悔しい。
思わず赤くなっている自分がいて、耐え切れなくて盗み見た。
嬉しそうに、優しそうに、愛しそうに笑うお前の笑顔がとても愛しい。
友人なんて域じゃない。恋人でもない。
家族に似た愛情。
気がついたら、彼の顔を凝視している自分がいた。
「何見てんだ、バカ」
あまりにも恥ずかしいから、俺は平気なフリをする。
- end -
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こちらへのアップが大分遅れましたが、三千打のときに記念としてひっそりこっそりあげていたもの。
あげた当初特に何も記述しなかったので、フリー小説ではないのですが。
一応gift novelに入れておきます。
まあ今から無期限フリーにしても構わないのですがね?
もうすぐ四千打で三千打のフリーを開始するのもあれだと思うので。
書いていて個人的に「え、これってホモ?ホモホモ?」とか思った私はどうやら末期です。
なんだか二人の関係がよく見えない上に意味不明な内容なのですが。
確か後一、二打辺りで三千(もしくは過ぎてた)で、必死になって直打ちで書いたものだったはず。
うあーうあー、こんなもの乗せてたんだ自分(赤面
うう、更新できるものが少ないので投入ですっ(てやっ
Harasu Uun